「古いものを直して使う」
2014 / 09 / 30カテゴリ:木工
祝・1階が出来た。
なんのことかというと、
我が家は、築40年程の鉄筋コンクリート2階建ての一見倉庫のような家に住んでいる。古くからここマキノで薬屋を営んでいた祖父が残してくれたもので、倉庫として使いながらも、都会に出て行った3人息子の誰かがいずれマキノに帰ってきてもいいようにと一応住めるようにもなっていたが、それは叶わなかった。40年間、倉庫のまま空き家だった。
今その家に私たち家族が、内装を解体し、水回りだけ業者に頼んで後は住みながら改装しつつ暮らしている。
この数ヶ月2階だけで暮らしていて、1階はコンクリートむき出しの廃墟同然だったのを、私の無理矢理のお願いの和室を、彼が一念発起で何もないところ基礎からつくってくれた。
祖父の想いと夢が詰まったこの家に、今私たちが内装を少しずつつくりながら愛着をもって暮らしている事を、もし祖父が生前見てくれていたら、どれだけ喜んだことだろう。そう思うとますます彼に感謝したい想いでいっぱいになる。
もうひとつ。
先日甥っ子の誕生日に、母である彼のお姉さんから相談があった。それは自分が使っていた古い油絵具箱を再生させて贈りたいという話しだった。
早速彼は、ペーパーで削り、色を塗り直し、中身には仕切りをつけて金具もかえて、最後に箱の裏に名前を掘り入れて完成。
お姉さんは、昔自分がよく使っていたはさみや色鉛筆の一つ一つを思い出して箱につめて、道具箱として4歳の息子に贈った。
「古いものを手直しして使う。」
私はこの精神を、とても人間らしく思えて大切にしたい。
家、家具、道具や衣装、どんな細かいものでも世代を超えて受け継がれていくものは、人の呼吸や共に過ぎた時間、見てきた景色、あらゆるものを吸い込んで、物自体がひとつの個性をもっているように見える。
そういった物たちに触れてる内に、教えられると信じている。良いものとは何かを。自分たちのつくりたい物とは何かを。
簡単には書けないけれど、長く永く愛着をもって受け継がれていく物をつくれることほど、作り手にとって幸せなことはないと、そう思う。
2014年 9月30日 火