暖簾
2017 / 01 / 07カテゴリ:染織
年末に、京都祇園の料亭さんに暖簾を納品してきました。
基調となる淡い緑は蓬。まだ早春の若葉を摘み、春の匂いに包まれながら染めた糸。
水色は秋の青の宝石、臭木の実の色を写し取った糸。
灰色は、夏に鮮やかなピンクや白の花を咲かせるサルスベリの、その花が咲く前の葉や枝から。だから花の魂の色。
その3つの植物を主につかって織り上げた暖簾。
マキノの牧歌的な山や、琵琶湖の空気をたくさん吸い込んで育った植物たち。糸になり、布になり、まさか祇園という華やぎの街で、これから日夜多くの方々に出会うことになりました。
その事をとても面白く、そして有り難く思います。
言葉を発しない植物たち。でもそれぞれに個性があり、太古から受け継がれてきた生死の物語がある。
機を織っていると、色糸の1本1本が賑やかにその話しをしてくれるかのようで、私は胸が熱くなり植物たちに畏敬の念を抱かずにおれなくなる。
今年もこの草木たちに、どれだけ喜びと感動をいただけるだろう。
2017.1.7