暖簾

カテゴリ:染織

年末に、京都祇園の料亭さんに暖簾を納品してきました。

基調となる淡い緑は蓬。まだ早春の若葉を摘み、春の匂いに包まれながら染めた糸。

水色は秋の青の宝石、臭木の実の色を写し取った糸。

灰色は、夏に鮮やかなピンクや白の花を咲かせるサルスベリの、その花が咲く前の葉や枝から。だから花の魂の色。

その3つの植物を主につかって織り上げた暖簾。

マキノの牧歌的な山や、琵琶湖の空気をたくさん吸い込んで育った植物たち。糸になり、布になり、まさか祇園という華やぎの街で、これから日夜多くの方々に出会うことになりました。

その事をとても面白く、そして有り難く思います。

言葉を発しない植物たち。でもそれぞれに個性があり、太古から受け継がれてきた生死の物語がある。

機を織っていると、色糸の1本1本が賑やかにその話しをしてくれるかのようで、私は胸が熱くなり植物たちに畏敬の念を抱かずにおれなくなる。

今年もこの草木たちに、どれだけ喜びと感動をいただけるだろう。

2017.1.7