秋がくる
2016 / 09 / 27カテゴリ:染織
秋がくる。足音でいうならヒタヒタ、、だろうか。
日々忍び来る寒さを感じるこの季節は、澄んだピアノの音色が心の波長にしっくり合う。
そして、この時期になると私の心は翡翠色の宝石の虜となる。
それは「臭木(くさぎ)」という木の実で、文字通り木も葉も実も臭いのだが、この実はまさにその翡翠の色を糸に移してくれる宝石のような実で、愛おしすぎて臭い匂いすら私にはかぐわしく思える。
この翡翠色は今織っている着物には無くてはならない差し色で、それも相まって目をギラギラさせながら臭木を探しているここ数日。
ピアノの即興の音。つかみたくてもつかめないピアノの音色を聴きながら機を織っていると、自分もすっかり即興音楽を奏でているような高揚した気持ちになる。
1分の間に何回も訪れる、闇の中を手探りするような感覚と、間違いない一本の糸をいれた時の興奮した感覚と。機の音色はとんとんからり、の単調な繰り返しだけど、機の上では草木の色がどれだけお喋りしていることか!
機織をしながら、いつも頭をよぎる一冊の絵本、
ものをつくる純粋さがそこにはあって、お守りのように大事にしている絵本。
いつか、あのカイジュウ息子に読んで、一緒に分かち合えるのはいつの日だろう、、、。
2016.9.27